篠原 武将

Takemasa Shinohara

篠原武将氏は、滋賀県湖南市出身の1980年生まれの料理人で、「銀座しのはら」のオーナーシェフである。学生時代には将来有望な空手選手として推薦入学の話もあったが、「手に職をつけたい」という咄嗟の一言がきっかけで料理の道を志した。 18歳から大阪の「熊魚菴たん熊北店」で料理の基本を学び、その後、京都の懐石料理「山玄茶」で修業を重ねる。この過程で篠原氏の才能が開花し、26歳で地元滋賀県に「日本料理しのはら」を開業。地元には珍しい懐石料理を提供し、わかりやすいコース構成や全国から取り寄せた希少な食材で地元客の信頼を得るとともに、日本全国から予約が殺到する人気店へと成長させた。 2016年、さらに高みを目指し「銀座しのはら」を開業。東京での挑戦はすぐに評価され、2018年からミシュラン1つ星を獲得。2020年以降は5年連続でミシュラン2つ星を獲得している。料理の根底には「町衆の料理」という地元に根付いた伝統があり、滋賀の田舎で育った経験や食文化が、彼の創作の基盤となっている。一方で、フォアグラやキャビアといった和食の枠を超えた素材も取り入れ、独自のスタイルを確立している。 篠原氏は、「料理は経験から生まれる」という哲学を大切にし、地元滋賀の情景を映した八寸や、滋賀の猟師が撃ったジビエなど、自然と人の営みを重ね合わせた料理を提供している。料理だけでなく、器使いにもこだわり、「偏りなくバランスをとる」という姿勢で、料理を引き立てる美しい器を選ぶ。 現在は銀座を拠点としながら、「次は世界へ」という展望を抱き、ニューヨークでの挑戦を見据えている。彼の料理は滋賀と東京、そして世界へと広がり続けているが、根本にある「田舎料理」の本質は決して変わらない。篠原氏は、料理を通じて地元の魅力と自身の個性を世界へ発信している。